観賞魚飼育におけるアンモニアについて解説

 

▶ 第三回 観賞魚飼育におけるアンモニアについて解説しています

ここでは大型の淡水水槽を例に話を進めてまいります
前回の生物濾過の記事で解説した通り、アンモニアは水槽内の生体から直接排出されるものと、餌の残りや生体のフンなどを分解するバクテリアによって発生します

このアンモニアは非常に毒性が高いのですが、淡水における水槽内では飼育水に含まれる水素イオンと結合し毒性のないアンモニウムイオンに変換されます、またアンモニウムイオンは分解されることがないので水槽内にとどまることになります

アンモニウムイオンに変換される量は際限なく変換されるわけではなく、ある一定量を超えてしまうと変換されずアンモニアのまま水中に存在してしまうわけですが
このアンモニアは、アンモニア→亜硝酸→硝酸へと分解するバクテリアの働きのエサの元となっているわけです
しかし、厄介なことに水温やphの上昇によってアンモニウムイオンが水中に溶け込める量は減少してしまいます

これは何を意味するかというと、急な水温上上昇によりアンモニウムイオンが水中に溶け込める量が減少しアンモニウムイオンから毒性の強いアンモニアへ戻ってしまうということです
もちろん生物濾過の機能が正常に行われていれば問題なく分解されてゆくのですが、水温上昇に伴い酸素飽和量も減少しますので濾過槽内のバクテリアの活動も鈍くなり、分解速度も落ちてアンモニアの分解が追い付かなくなる場合もあります

phに関しましてはしっかり濾過が機能しているのであれば極端なph上昇は少ないと思いますがphの降下対策としてサンゴを濾過槽に導入される場合は少しずつ投入し、しっかり水質管理してください

以上は大型淡水魚を例とした解説でした、予備知識として海水魚の場合では海水のph値が8.0以上と高いため水中のアンモニアはアンモニウムイオンに変換することができず、アンモニアのまま海水中に存在することになります、これは閉鎖された水槽内では海水魚の飼育が難しいといわれる原因の一つです

▶ アンモニアに対する対策としてまとめると

① 水温上昇、特に夏場の急激な水温上昇に気をつけ対策を施す
観賞魚を飼育するにあたって、アンモニア対策に限らず急激な水温の変化は生体に良い影響を与えませんので充分配慮する必要があります、また必要以上の水温上昇は酸素飽和量の減少になりますので濾過バクテリアの活動にも影響がでます、濾過バクテリアだけでなくアンモニウムイオンの対策にもなりますので水温管理には充分注意しましょう

② 過剰な混泳飼育は濾過設備の充実等により対策を施す
水槽の大きさ(水量)や濾過設備に見合った飼育を心がけましょう。アンモニアの処理能力ギリギリの濾過能力の場合、水温やphが原因となり水質悪化につながることがあります。特に上部濾過槽で大型魚の混泳を楽しまれる場合は注意が必要です

③ 酸素量の重要性を認識し対策を施す
特にオーバーフローの濾過槽では濾過槽の経路が長くなるので途中でのエアーレーションが重要になります、水温管理と共に酸素供給量にも気を配りましょう

④ エサの量
適切なエサの給仕量は熱帯魚飼育の基本になります、残餌は水槽内に放置すると水質悪化の原因になり濾過槽にも大きく負担を掛けることになりますので適切な給仕を心がけましょう

⑤ 水換え
アクアリウムにおける水換えは硝酸塩の除去だけでなくアンモニウムイオンの除去にもなります、過度の換水は水質や濾過バクテリアの不安定につながりますので適切な換水のペースを守りましょう

大型水槽では飼育される生体も大型になる種を選ばれ混泳飼育を楽しまれるかたも多く、充実したアクアライフをおおくりされているかと思います
また、ここまでの解説でいかに濾過機能の充実が重要であるかご理解いただけたかと思います

次回は、アンモニアを吸着するゼオライトについて解説してみたいと思いいます