キャスト板、重合接着に関して

CONTENT
1、アクリル水槽に使用する アクリル板の種類を教えて下さい
2、アクリル板の接着方法の詳細
3、内R重合接着詳細について
4、アクリル水槽接着方法による水槽形状の違い (別窓が開きます)
5、アクリルキャスト製造メーカーによる強度など違いは有りますか?
6、重合接着の種類と使い分けは?
7、重合接着と溶剤接着を見分ける方法は有りますか?
8、重合接着時に接着面に入る気泡について

  • 1、アクリル水槽に使用する アクリル板の種類を教えて下さい

    水槽に使われるアクリル板の種類は
    国産キャスト板
    国産押し出し板
    輸入アクリル板 (注1.)の大きく分けると3種です

    ここで、水槽製作に関して 国産のキャストアクリル板と 国産の押し出し板を比較すると、皆様がご存じのように、強度 耐久性 接着方法の相性を考えると、どうしても国産キャスト板が(注2.)が優れていると言わざるをえません。この3種のアクリル板で当店が主に使用するのは 国産キャスト板で、全て国産メーカーのキャスト板を使用しています。

    (注1.)輸入アクリル板とは主にタイや中国から輸入された、粗悪な低分子キャスト板である事が多く、ここでは 判りやすくする為に、輸入キャスト板、輸入押し出し板、輸入低分子キャスト板 を全て輸入アクリル板として説明しています。
    尚 当店では国産メーカーのアクリル板のみ使用しています。
    アクリルキャスト板の日本の国内規格は、5㍉、6ミリ、8ミリ、10ミリ、13ミリ、15ミリ、18ミリ、20ミリ、25ミリ、30ミリ、35ミリ、40ミリ、50ミリ で、これ以外の厚さの規格は日本国内には一般的には出回りません。
    しかしアクリルの厚さが12ミリの製品も販売されています。この中には輸入アクリル板(低分子板) も含まれていると思われます。この12ミリという厚さは、海外アクリル板の規格で国内メーカーも12ミリ厚を製造していますが、輸出用で国内流通は全くされていませんし、メーカーに依頼してロット生産する事も可能ですが、輸出した国産キャスト板を逆輸入したり、ロット生産する事のメリットが全くメリットが見当たりませんので、恐らくこの板は輸入アクリル板では無いかと思われます。
  • 2、アクリル板の接着方法の詳細(別窓が開きます)

  • 3、内R重合接着詳細について

  • 水槽枠が25ミリを越える水槽に付きまして、水槽枠(縦接着部分)は 全て 内R重合接着(約10R)にて製作いたします。

    水槽枠内R接着加工によって重合接着面が大きくなりますから強度アップします。また、水槽内側が内R重合接着されていますから、ゴミ等が付着し難く、コケが付着した場合も 通常の重合接着水槽と比較すると 柔らかいスポンジなどで 簡単に取る事が出来ます

    ※)水槽枠が25ミリ以下の水槽の場合も 標準内R重合接着(約3R)にて製作いたします。
  • 水槽縦枠 内R重合接着 上面画像
    ※画像はオール重合接着 天板1枚板くりぬき水槽です
  • 水槽縦枠 内R重合接着 斜め上部よりの画像
  • 図のように水槽枠内R加工によって重合接着面が大きくなりますから強度アップします
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    4、アクリル水槽接着方法による水槽形状の違い(別窓が開きます)

  • 5、アクリル板製造メーカーにより強度など違いはありますか?

    これは非常に沢山の方から頂くご質問で、

    ・○○社製のアクリル板が水槽に1番適している。
    ・○○社製のアクリル板が最高品質である。
    ・○○社製のキャスト板の表面硬度が高く傷が入りにくい。

    などと聞いたりしましたが、本当ですか?と言う問い合わせです。
    当店では全ての国産メーカー製のアクリルキャスト板を使用致しましたが、国産のアクリルキャスト板は世界に類を見ない厳しいJIS規格に沿って製造されていますので、どの会社のアクリルキャスト板が優れている、また劣っている。とは感じません。また 出来上がった水槽をプロが見ても全く判らないと思いますし、強度的にも違いはありませんので、厳密な物性値の違いを求める 特殊な実験用水槽以外の一般の観賞魚用水槽では気になさらないで良いと思います。

    また、日本国内メーカーのアクリル板は世界中の水族館などでで採用されており、世界的評価も高くメーカーによる差もないと思います。
  • 6、重合接着の種類と使い分けは?

    通常の重合接着と 加熱重合接着(アニール処理)がありますが、一般の水槽は通常の重合接着で製作致します。
    これは同じ厚さのアクリルを使用した場合加熱重合接着の方が2割程度強度が上ですが、加工費が5~6割程度高価になりますので、通常の重合接着でアクリルの厚さを厚くした方が強度が上がり 価格が安くなるためです。
    また 加熱重合接着した水槽は 対衝撃強度が落ちる事が判っています。
  • 水槽容量による接着方法 ~3000L ~6000L ~17000L 17000L~
    枠重合接着
    底/天フランジ溶剤接着水槽
    ×※1 × ×
    枠/底/天板
    オール重合接着水槽
    ◎※2 × ×
    枠/底/天オール加熱重合接着水槽
    (アニール処理)
    △※3 ○※2 ×
    FRP一面体水槽
    (鑑賞面キャストアクリル)
    △※4
  • ※1) 3.0トン(3000リットル)を超える水槽はオール重合接着にて、製作致します
    ※2) 公共施設や不特定多数の方が多く直接水槽に触れる展示、鑑賞水槽の場合は、◎にてお見積り、設置、配管施工致します。
    ※3) 3トン(3000L)以下の水槽の場合は加熱処理されるよりオール重合接着にて、アクリルキャスト板の厚さを上げて製作される方が安価に製作出来 強度も上がる場合が大半です。
    ※4) オールアクリル水槽と、FRP一面体水槽の価格は 諸条件にもよりますが、3トン(3000L)~4.5トン(4500L) を超えたあたりから逆転致します。
  • 7、重合接着と溶剤接着を見分ける方法は有りますか?

    通常 水槽枠(水槽の縦の接着面)に違いがあります。
    溶剤接着では 接着面の内側に補強の四角の(三角も有ります)アクリル棒を接着して 強度を出していますが、重合接着の場合 縦コーナーの補強はありません。ここで通常と書いたのは、溶剤接着であるにも係わらず補強を入れていない水槽が有あるためで、これを調べるには、水槽上部の接着箇所に爪をあててみて、爪が引っかかるようであれば溶剤接(注1.) されていると思って間違いありません。
    重合接着された水槽では、継ぎ目自体がよく見なければ分からない程正確に接着されています。

    注.) 膨潤接着(溶剤接着の一種)された水槽で、綺麗に磨き上げられた水槽の場合は、爪が引っから無い場合がございます。
  • 8、重合接着時に接着面に入る気泡について

    重合接着で接着された接着面には小さな気泡が混入する場合があります。
    もちろん、細心の注意を払い製作させて頂いておりますが、溶剤接着のように粘度の低い溶剤で接着するのではなく接着面に隙間を設けその隙間に粘度の高い重合接着液を注入し、硬化させて接合しますのでどうしても確率をゼロには出来ません。強度的には全く問題ないのですがごく少量の小さな気泡が混入する可能性が、ありますので御了承ください
    強度的に問題があるような水槽は出荷致しませんのでご安心ください
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